さいたま市大宮区 ソニックシティ12F 矯正歯科専門のファミリア歯科矯正 院長の大塚です。最近ブログの更新頻度が少なくてすいません。^^;
今月も、終了事例から一症例詳しく掲載します。アメブロ時代にも何度か「床矯正」について書きましたが、小学生の時に床矯正を行ったものの、大人になってもう一回やりなおした矯正治療の例です。
患者さんは19歳の女性です。
小学生の頃、一般歯科で「床矯正」を受けたことがあるそうです。
当院にいらしたときは、前歯が深くかぶっている咬みあわせの改善、不揃いで左に傾いてる前歯の歯並びの改善、などをご希望でした。
No.11V-338
- ≫治療前
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- 上顎
- 下顎
- 前歯の関係など
- 右側
- 正面
- 左側
もちろん前回の矯正治療の開始前・終了直後の状態を私は拝見しておりませんので、あまり言い切ってはいけないのですが、上下の不自然な歯列の形態や、大臼歯(奥歯)が外側におきあがってしまったり「ハネ」てしまっているのは、おそらく「床矯正」による拡大が原因と考えます。
もちろん「シュワルツ床」と言う装置が矯正歯科の教科書にも掲載されていて、100年前から取り外し式の拡大装置というものは存在しており、またとても役立つ装置です。ただし、非抜歯にすることを優先するあまり、無理な拡大をしすぎると、かみ合わせが不安定になってしまうことがあるのです。
奥歯(第一大臼歯)の前後的なズレも左右で異なってしまっており、難しい治療でした。 - ≫治療後
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- 上顎
- 下顎
- 前歯の関係など
- 右側
- 正面
- 左側
治療後です。右側の上下の歯がきれいにたがい違いになっていて、上下の歯の間の不自然な隙間がなくなっているのに注目してください。上下の正中線はずれてしまっていましたが、前歯がきれいに並んだことにより、一致しています。
歯並び全体の形(アーチ)は、これ(治療後)でも、どちらかというと広めのシェイプだと思います。治療前の末広がりな台形のような形は、不自然だと思います。
旧ブログでも何度か書きましたが、「床矯正装置」という装置は大昔から存在して、「取り外しができる」「中に組み込まれたネジを広げることにより、歯並びが拡がる」という仕組み自体は新しくもなんともありません。
それがなぜか「床矯正」もしくは「床矯正法」という治療方法のひとつと独立して、「マルチブラケット法」「ワイヤー矯正法」はては「矯正専門医のする矯正治療(法)」とは全く別物であるかのように誤認させる・もしくは歯科医師の方が誤認している可能性もある、のはいったいどういうことか、と憤りすら感じます。
歯を抜かずにできればそれに越したことはありませんが、あまりに若年から拡げたり、あまりにも多く拡げすぎたり、そんなことをすると、どこで咬んでいいかわからなくなってしまうことがあります。
床矯正装置を使うとき、非抜歯の矯正を行うときは、それ相応の注意が必要なのです。