2014年11月に、「多くの乳歯がダメになってしまっている小児の受け口」というブログを書いたのですが、その患者さんの第二期治療が終了したので記事を追記の上再掲したいと思います。
- 初診時年齢:8歳
- 男性
たくさんの乳歯が早期脱落(早くになくなってしまうこと)している、反対咬合(受け口)の小学生低学年男子でした。
- ≫治療前
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多数の歯が、虫歯で「残根」(歯の頭の部分が全てダメになってしまった)状態です。特に下の奥歯(特に左側)で、大事な第一大臼歯が、なくなった乳臼歯(子供の奥歯)の所へ倒れこみ始めています。前歯の受け口だけでなく、奥歯のかみ合わせも大きく乱れ始めていた、と言えます。
- 上顎
- 下顎
- 前歯の関係など
- 右側
- 正面
- 左側
- ≫治療中 ステップ1
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一期治療として、倒れている歯を起こしたり、残根(根だけ残って残りはなくなってしまった状態)の歯を抜いたりしました。装置の破損等が多く大変苦労しましたが、できるだけ正常な場所に永久歯を移動しました。
移動した歯は、押さえておかないとまた倒れたり移動してしまったりします。それを防ぐために下の内側にリンガルアーチ、右上の奥歯にバンドループというつっかえ棒の役割をする装置を入れて、残りの永久歯がはえてくる場所をしっかり確保しました。この状態で成長の終了と奥歯がはえてくるのを待ちました。- 上顎
- 下顎
- 前歯の関係など
- 右側
- 正面
- 左側
- ≫治療後
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成長が落ち着くまで経過観察してから、マルチブラケット装置により第二期治療を行い、治療を完了しました。生まれつき少ない下の前歯一本を除いて、全ての歯がきれいに排列されて、かみ合わせに参加できました。
残念ながら度重なるブラッシング指導にもかかわらず、衛生状態が改善しなかった場所にホワイトスポット(初期の虫歯で止まった状態、白濁)が多数見られます。もしも管理せず初診のままだったら、どのような状態になっていたかと思えば、、、ではあるのですが、矯正歯科医としては大きな反省点です。- 上顎
- 下顎
- 前歯の関係など
- 右側
- 正面
- 左側
乳歯は、いずれ抜けるといっても、「その後に生えてくる永久歯の場所を確保しておく」「上下のかみ合わせを支える柱」という重要な役割があります。この患者さんのように、虫歯等で歯がダメになったり、歯の頭の部分が崩壊してしまったりすると、この役目を果たせなくなるのです。
校医として小学校に歯科検診に行くと、カリエスフリー:全く虫歯がない がかなりの数いる一方で、たまにこの患者さんのように乳歯の虫歯が放置されてかみ合わせが崩れかけているお子さんがいます。「どうせそのうち抜ける子供の歯」と侮ることなく、そしてもしもダメにしてしまったらすぐ対処をしていただきたいと思います。