検索システムや当院の終了症例をご覧になっていただいている方は、小臼歯などを抜歯して治療しているケースが多いと感じられることもあるかもしれません。しかし当院は別に抜歯を前提としているわけでは全くないので、今月の終了症例から非抜歯で治療をしたケースを解説したいと思います。
No.12V-501
- 年齢: 12歳
- 女性
- ≫治療前
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上顎
下顎
前歯の関係など
右側
正面
左側
- ≫治療後
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上顎
下顎
前歯の関係など
右側
正面
左側
でこぼこを治したい、ということで来院された小学生の女の子でした。中学生になるまで経過を観察して開始しました。すべての永久歯がそろって、成長もほぼ終了した段階の写真です。叢生(でこぼこ、凹凸、ガタガタ)の程度は中程度、歯の大きさも大きめですが、アゴの大きさも割と大きめです。
小臼歯非抜歯治療を希望されたため、ペンデックスという装置で後方にも側方にも広げました。アゴの後方や側方に広げる余地がある程度以上ないと、前歯が前に出ていくだけになりますので、非抜歯治療はうまくいきません。今回は、上記の装置の後にマルチブラケット装置を併用して、治療を行いました。仕上がりは正直なところやや上下の前歯の唇側(前方)への傾斜が残っていますが、上下の前歯の重なりや各歯のかみ合わせも改善できましたので、歯の本数を残すことを優先するというのは一つの考え方です。 費用は82万円、2年強の治療期間でした。
歯を抜かずに無理に広げたせいで、前歯がかみ合わなくなっていたり、奥歯がスカスカになってしまっている方から相談を受けることがあります。しかし歯を抜きたくないからとにかく広げる というのと、上記したようにどの程度横や後ろにも広げる余地があるのか診査してから治療計画を立案する、というのは大きな違いがあります。 私が所属する日本臨床矯正歯科医会でも、拡大床、床矯正(しょうきょうせい)による安易な拡大による不適切な矯正治療に関して警鐘を鳴らしております。 (記事は→こちら)