さて、今月も終了事例から一ケース取り上げたいと思います。今月はいろいろと苦労したケースが多く、どれにするか迷いましたが、埋伏(自然に出てこられなかった)歯を萌出誘導(引っ張り出した)ケースを選びました。
No.13V-387
- 25歳
- 女性
右下の第二小臼歯が出てこないので、歯の隙間が空いているのを何とかしたい、ということで来院されました。咬みあわせとしては、反対咬合(受け口)傾向のある叢生(でこぼこ、ガタガタ)でした。
- ≫治療前
-
上顎
下顎
前歯の関係など
右側
正面
左側
レントゲンで検査したところ、右下の第二小臼歯(5番目)が、第一大臼歯(6番目)の足元にひっかかってしまい、出てこられなかったようです。この埋まり方ですと、抜歯をするのもリスクが大きく、かといってこの歯を無視して奥歯を移動することもできません。
そこで、埋伏の第二小臼歯を引っ張り出すことにトライしました。さすがに「必ず出せる」と約束することはできませんでしたので、「途中まで動かしてから抜歯、ということもあり得ます」というお約束でした。 - ≫治療後
-
上顎
下顎
前歯の関係など
右側
正面
左側
私がこれまでひっぱりだした下の歯の中で、最も深い位置にあった歯かもしれません。患者さんもこちらも苦労はありましたが、無事に引っ張り出すことができました。
この歯を出すことができたことによって、歯の本数を減らしたり、入れ歯やブリッジなどで歯を補う必要もなく、しっかりかみ合わせを治すことができました。
最近、しょっちゅう「ちゃんと出てこられない上あごの犬歯(3番目、八重歯になる歯)」を引っ張り出しています。出てこられなくなっている歯があるかどうかは、成長期に一度チェックできると良いですね。
この方のように成人になってから処置可能な場合もたくさんありますが、早めにみつけてあげた方が処置が単純になったり、期間を短縮することが望めます。