今月も終了事例から一症例、解説をしたいと思います。
No.11V-311
- 年齢:
- 11歳
- 性別:
- 男性
- ≫治療前
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- 上顎
- 下顎
- 前歯の関係など
- 右側
- 正面
- 左側
上の前歯の間に過剰歯(余分な歯)が埋まっていたため、大きな隙間がありました。また、下の前歯が正面からまったく見えない、「過蓋咬合(深い咬み合わせ)」でもありました。
生えかわりの途中では、前歯の間に少しずつ隙間があることは正常なのですが、この空き方はなにかしらの異常があるパターンです。 - ≫治療中 ステップ1
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- 上顎
- 下顎
- 前歯の関係など
- 右側
- 正面
- 左側
第I期治療として、口腔外科にて正中の過剰な歯を抜歯してもらってから、前歯を圧下(歯ぐきに押し戻す)と隙間の閉鎖を行っておきました。
その後は、全ての歯のはえ代わりが終了するまで経過観察しました。生えかわりの顎の成長がほぼ終了した段階では、強い叢生(でこぼこ、凹凸、ガタガタ)で八重歯になりました。 - ≫治療後
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- 上顎
- 下顎
- 前歯の関係など
- 右側
- 正面
- 左側
第二期治療として、上下左右各1本の小臼歯抜歯を伴うマルチブラケット療法を行いました。
歯の大きさが大きい時は、無理をせず抜歯をして余裕を持たせてあげることも多いです。最終的には前歯の隙間が閉じたのはもちろん、きれいな歯並びと正しい咬みあわせになりました。
症例の詳細は以上です。第一期治療でどこまでやっておくか、という判断はとても重要です。
歯科矯正の治療対象となる不正咬合のうち、叢生(でこぼこ、凹凸、ガタガタ)は、虫歯や悪い腫瘍の様にほっておくとどんどん悪くなるわけではありませんので、とにかく小さいうちに、早くスタートすればいいわけではありません。今回のケースは、どこの時期に何の治療をしておくか、という見極めが大切です。