さいたま市大宮区 ソニックシティ12F 矯正歯科専門のファミリア歯科矯正 院長の大塚です。
今年も第110回歯科医師国家試験の合格発表がありました。
身内に受験生や歯学部生がおらず、また大学の医局を退職して10年近くなるので、そんなに身に迫る実感はないものの、やはりこの発表は毎年気になります。
母校の東北大は、お世話になった医科歯科や父の母校の日本歯科は、など。。。。
今年は新卒で76.9%、既卒(国試浪人)も含めた全体では65.0%と、2000人程度の合格者だったようです。
新卒の4人に3人は合格する、つまり下四分の一だけが足切られる試験なら、それはそれでありじゃない?と思われる向きもあるかもしれませんが、何しろつぶしの効かない「歯科大卒」。
おまけにこの合格率は、あくまで「受験させてもらえた」(=卒業させてもらえた)学生の合格率であって、特に国家試験合格率が学校経営に直結する私立歯科大では、そもそも国家試験を受けさせてもらえない(=留年)の学生がかなりの数いると言われています。
(国家試験を受けたいと「出願」はしても「受験」してはいないので、合格率にはカウントされない。)
各学生やその家庭だけでなくて、歯学部教育には多かれ少なかれ税金も投入されるわけですし、卒業時20代の若者が何もつぶしのきかない「歯科大卒」となるだけで歯科医療の役に立てないのでは、医療資源・社会資源・税金の無駄遣い以外の何物でもないと思われます。
歯科医師過剰がそれこそ過剰に喧伝され、さらに週刊誌などでは常套句である「良心のない儲け主義」「経営が厳しいからいい加減なことをしている」歯科医院だらけかのような記事を垂れ流していたりもします。歯科衛生士卒業後の進路の多様化(口腔ケア要因としての病院や介護施設での活躍など)、そもそも歯科技工士も含めてコ・デンタルスタッフの成り手不足の問題が顕在化しつつあります。
しかし、もちろん歯科医師はそんなひどい人ばかりではありません(ほとんどいない、とはあえて言いませんが)し、日本社会の直近の課題としての高齢者のケア、そしてこれから本格化する再生医療時代と、歯科の役割はまだまだあるものです。
こんな状況が続くと、リスクが高すぎて、歯科の世界に良い人材が入ってきにくくなってしまいます。歯科医師会と歯科大学、文科省・厚労省全部の努力が必要だと思いますが、早くこの入口ー出口の問題をなんとかしないと、それこそ日本国民全体の損失だと思うのですけどね・・・・