2009年4月14日

矯正歯科に関する質問

いま虫歯があります。一緒に虫歯の治療はできますか?

まず虫歯治療を行う必要がありますので、一般歯科医院をご紹介しています。また虫歯がみつかった場合、矯正装置を付ける前に虫歯を治療する必要があります。

当院は矯正専門の歯科医院であるため、虫歯治療は行っておりません。患者さんのかかりつけの歯科医院あるいは、当院が信頼できる歯科医院をご紹介して治療していただきます。これは抜歯に関しても同様です。

当院で虫歯治療を行わない理由は、日々虫歯治療を行っている歯科医にお願いするほうが、患者さんにとってメリットが大きいと考えているからです。

治療内容によって、その道のプロにお願いすることが、患者さんにとって最善の治療法だと思います。内科の専門医が心臓外科手術を行わないことと同じだとイメージしていただければわかりやすいかと思います。

表側(唇側)矯正と裏側(舌側)矯正の違いは何ですか?

歯を動かすためのブラケットという矯正装置を、歯の表側(唇側・ラビアル)につけるか、裏側(舌側・リンガル)につけるかの違いです。
治療中の見た目をどの程度求めるかによって、表か裏かを選択します。
裏側からの矯正では、しゃべりにくい、舌が痛い、食べ物が詰まる、歯磨きがしにくいなどの問題がありますが、現在は装置の小型化に伴い、これらの問題点は以前よりは減少しています。虫歯になるリスクについては、低いというヨーロッパでの報告もあります。

ただし、裏側の装置は、
1)ブラケットを着ける場所の制約が多いこと
2)ワイヤーを入れる場所が(内側にあるため)狭いこと
3)物理学的特性により、苦手な動きがあること
から、装置装着や歯の移動に時間がかかることが多くなります。

このため当院では、唇側・舌側どちらを使っても治療期間や仕上がりに大きな違いがないと判断した場合に、裏側(舌側)装置での治療をお引き受けさせていただきます。
裏側矯正の可否、唇側で行った場合との違いなどは、初診カウンセリング時・検査終了後のコンサルテーション時にお話しさせていただきます。

治療の費用はハーフリンガル(上だけ裏側)で+20~30万円、
フルリンガル(上下とも裏側)で+35~50万円の追加費用がかかります。

※2021年8月より当面の間、土曜日および平日17:00以降の繁忙時間帯における裏側矯正治療の治療を中止させていただきます。

矯正歯科治療は何歳まで受けられますか?

矯正治療は何歳までしかできない、という年齢制限はありません。

ただし、不正咬合を長く放置したことにより歯が極端に摩耗したり、不整なかみ癖がついてしまったりする可能性があります。また虫歯や治療してかぶせ物を歯や、歯周病といった歯科疾患も年齢とともに増えてきます。
このようなことがありますと、治療方針が複雑になったり、治療期間が長くなりがちです。
また、歯の移動は人間の持っている「骨の自然な改造」能力により起こりますので、
年齢とともに新陳代謝が低下すれば、移動が遅くなっていきます。
このようなことを考えると、基本的には若いうちに行った方が有利な点が多くなります。

一方、成長期の患者さんの場合には、若ければ若い方がよい、と言うわけではありません。
強い指しゃぶりを原因としている上顎前突(出っ歯)など、4,5歳前後からの早期治療が望ましい場合ももちろんありますが、小学校低学年までに必ずやっておかなければいけない、もしくはそれまでに矯正治療をしておけば後はしなくて済む、ということはそれほど多くありません。
歯のはえてくる時期、順番、全身とアゴの成長が来るのには、それぞれタイミングというものがあるからです。矯正治療を早く始めたからといって、12歳臼歯が小学校低学年のうちに出てくることもありませんし、中学に入るときに大人の体格になるわけでもありません。

治療の開始にふさわしい時期は患者さんごとに大きく異なりますので、初診相談の時に当院の意見をお伝えいたします。

上の前歯の並びだけが気になるのですが、部分的な矯正はできますか?

はい、部分矯正治療も行っております。
主に、かかりつけ医の先生のご指示で、
・倒れた歯を起こしてブリッジ(固定式入れ歯)を作ることができるようにする
・ダメになってしまった奥歯を抜いたところに、埋まっている親知らずを誘導する
などの治療を想定しています。

※部分治療は対応可能な症状が非常に限られております。
「前に出ているのはこの一本だけなので、部分矯正でひっこめたい」
というようなご要望をいただくことがありますが、
全体に奥歯からずれっていった結果として、一本だけが飛び出して見える場合がの方が多く、この場合は部分矯正では治療が困難です。

「上下ともガタガタだけれど、目立つ上だけで済ませたい」
というご要望もいただくことがありますが、
上の歯並びだけきれいにしても、ガタガタの下の歯並びと毎日かみ合うので、またくずれてしまいやすくなります。

このように、部分矯正治療については、ご希望があってもお引き受けできない場合がありますのであらかじめご了承ください。

矯正歯科の治療費も医療費控除の対象になりますか?

子供:原則的に認めらます。
成人:診断時にお渡しする治療契約書のコピーを控除申告時に添付していただいております。

詳しくは、国税庁のHPをご覧ください。

国税庁HP:http://www.nta.go.jp/

●医療費控除を受けるための条件は?
医療費控除は、1月1日~12月31日の1年間に支払った医療費が10万円を越えた場合の超過分に対して適用されます。ただし、年間所得が200万円未満の場合、所得×5%を基準として超過分に対して適用されます。

矯正歯科治療では抜歯が必要だと聞いたのですが......

治療上必要があれば、抜歯が必要なことはあります。

抜歯について当院では、できるだけ歯を抜くことなく非抜歯矯正治療を行うことを心がけています。しかし、患者さんの状態によっては抜歯したほうが良い結果が得られるケースも多々あります。

「出来る限り永久歯を抜かないで治療をしたい」ということは、歯科医である矯正歯科の専門医であっても、患者さんと同じ気持ちです。あごや歯並びを横に拡げたり、歯を後ろに動かしたり、歯をヤスリがけして幅を狭く(小さく)することで、充分なスペースを作ることが出来る場合は、歯は抜く必要がありません。

しかし、上記の方法では充分に隙間を作れない場合、口元が前に出ているのを大きく改善したい場合などでは、永久歯の抜歯が必要な場合があります。

矯正歯科の治療期間と通院間隔はどれくらいですか?

治療の難易度、歯の動き方の個人差にもより異なります。

全ての永久歯がはえ揃ってから(中高校生以降)の本格矯正治療では、通常の唇側からの装置で治療を行うと1半年~2年半のかかるのが一般的な治療期間です。

通院間隔は、マルチブラケット装置を装着しているときは、平均して4週間に一度です。
移動のスピードや方向により、3~6週間の間隔となることもあります。
歯を動かすステップを終了すると、3~6か月に一度のチェックとなります。

歯がはえてくるのを待っていたり、全身やアゴの伸びを成長観察している時期は、6~12か月に一度の来院をお願いしています。

矯正歯科治療中に引っ越した場合は、どうすればいいですか?

当院へ通院していただくことが不可能な地域への引っ越しでしたら、引っ越し先近隣の矯正歯科医院への継続治療の依頼をしております。

矯正歯科治療中の痛みはどの程度ですか?

痛みがまったくないとはいえませんが、想像されているより痛くありません。ブラケットにワイヤーを装着すると、持続的な力が歯にかかります。

歯が動く時には、骨の中の歯根周囲で炎症反応が生じ、それが痛みの原因となっています。そのとき、虫歯の痛みと違った歯が浮くような感じがする場合や、物をかむときに鈍い痛みを覚えることがあります。

この痛みは数日続くことがありますが、1週間くらいで消失します。当院では治療初期には極めて弱い力で歯を動かしますので、炎症の度合いが少なく、あまり痛みを感じることはないでしょう。痛みの感じ方は個人差がありますが、実際に当院に通院中の方の中には、全く痛くないですと言われる患者さんもたくさんいらっしゃいます。

矯正装置が壊れたらどうすればいいのですか?

装置が壊れた、外れた場合は、なるべく早くご連絡ください。次回のお約束日にでも大丈夫な場合と、至急処理する必要がある場合があります。

矯正装置は入れ歯などと異なり、治療期間内にだけ効果を発揮する器具です。耐久性を求めることが目的の装置ではないので、治療中に壊れてしまうことがあることをご理解ください。

矯正装置を着けたら、食べ物の制限はありますか?

キャラメル、ガム、グミ、つきたてのお餅など粘り気が強い食品は、装置に引っ掛かかるって壊れることがあります。
また、氷や飴を奥歯で強く噛むと、装置の外れや破損が生じます。
これらの食品は、食べるのを控えていただくか、食べる際には注意していただきたいと思います。

矯正装置をつけたままスポーツや楽器の演奏はできますか?

出来ますが注意が必要な場合があります。まず、トランペットのように唇にマウスピースを押しつけるタイプの楽器は、表側に矯正装置がついていると痛いことがあります。また、スポーツでは格闘技が要注意です。

こういった場合は、装置をガードする歯科用マウスピースを使って対応することができますので、治療前にご相談ください。

矯正歯科治療後、もとに戻ったりしませんか?

すべての患者さんは、矯正装置をはずした後に保定を行う必要があります。装置をはずした直後の歯はかなり動揺していますので、きちんと保定を行わないと歯が動き出す場合があります。

通常、この保定には保定装置(リテーナー)という後戻りを防止する装置を用います。この装置をきちんと使用することも矯正歯科治療の大事な一部です。

保定期間は、最低でも歯を動かしたのと同じ期間、できれば2年は必要です。その後も、正しい噛み合わせを維持するためには、年に1回の定期検診を受けることが大切です。

矯正歯科治療中に妊娠しても大丈夫ですか?

大丈夫です。つわりが激しい時期など長時間の診療や通院が難しいこともありますが、治療自体が問題になることはありません。

しかし、レントゲン写真をとることはできるだけ避けたほうが安心です。当院では最新のデジタルレントゲンを導入しており、従来のレントゲンに比べてX線量が10分の1程度で済みますが、妊娠の可能性がある場合は必ずご申告ください。

目立たない矯正器具はありますか?

表側(唇側)に装置を着ける場合、歯の色に近い、白色~透明な矯正装置(ブラケット)を使用していおりますので、昔からある全て金属の装置に比べれば、あまり目立たないようになっています。

また表側の装置に、ホワイトワイヤー(白色金属でメッキする、白い材質でワイヤーをコーティングする、などの処置が行われているワイヤー)を使用すると、さらに目立たなくなります。
この場合、ワイヤー 一本につき3,300円(3,000円+税)を頂戴しています。
治療開始から最後までで、多い方でも20本以下がほとんどです。

歯の裏側(舌側)に装置をつける、リンガルブラケットを使用する方法もあります。
裏側から装置をつけることにより、審美性が高くなります。
ハーフリンガル(上だけ裏側)で+20~30万円、
フルリンガル(上下とも裏側)で+35~50万円の追加費用がかかります。

※2021年8月より当面の間、土曜日および平日17:00以降の繁忙時間帯における裏側矯正治療を中止させていただきます。

症例により、マウスピース型カスタムメイド矯正装置の一種である、インビザラインや院内技工士の製作しているアライナー装置、上下一体型のトゥースポジショナーやダイナミックポジショナーにより治療を行うことができる場合があります。
インビザラインやアライナーは、透明な素材でできた上下分離型のマウスピースで、必要に応じて患者さんご自身が外すこともできますので、審美性が高くなります。
特にインビザラインは、CAD/CAMの技術を利用して、数十枚の少しずつ異なるマウスピースをコンピュータシュミレーションで事前に作製する方法です。
費用は、表側の標準的な装置に+0~10万円の追加費用がかかります。
※マルチブラケット装置に比べて移動の自由度・信頼性がまだ不足しているため、当院では検査後に可能な場合のみ、お引き受けしております。

矯正歯科治療中の歯磨きは大変ですか?

歯に何もつけない状態と比較すると歯磨きは大変になります。矯正装置を付けることで歯が磨きにくくなるため、虫歯や歯周病といったお口の中の病気になる方もいらっしゃいます。

ブリッジや差し歯があります。矯正歯科治療はできますか?

差し歯は問題ありませんが、ブリッジの歯を動かす必要がある場合、一度ブリッジをはずし、1本1本の歯に装置を付けることがあります。

ただし、天然歯(治療をしていない歯)と比べて接着剤がつきにくいため、何度か治療途中で矯正装置がはずれてしまう可能性があります。はずれたときには再度接着剤でつけ直せば問題ありません。

しばらく通院できなくても大丈夫ですか?

矯正歯科治療は長期間かかりますから、その間に都合によりしばらく通院できなくなってしまうこともときにはあると思います。

たとえば出産やけがのための入院や、短期間の留学や受験で忙しいなどです。そのような場合でも、しっかり歯磨きをしていれば特別問題はありません。ただし、その間は治療の進行が遅くなります。

もしも矯正装置が壊れてしまったときには、何らかの応急処置が必要になる場合があります。その際にはスグにご連絡ください。

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