当院で行う矯正治療のメインは唇側(表側)のマルチブラケット装置によるワイヤー矯正ですが、ご希望や状況に合わせて、その他のさまざまな方法にも対応しています。
歯科矯正用アンカースクリュー/インプラントの使用
歯科矯正用アンカースクリュー/インプラントとは「アンカー」と呼ばれる小さなスクリュー(小さなネジ、インプラント)を歯ぐきに埋入し、これを固定源として歯を引っ張ることで、効率的な歯列矯正ができる画期的な方法です。矯正の治療期間は、効率的に歯を引っ張り続けることができるため、従来よりも10~30%程度短くできることがあります。
歯ぐきに入れるスクリューの大きさは、ほんの数ミリしかありません(小さなピン程度だと考えてください)。麻酔を使って骨に埋入していくので、手術時も手術後にも痛みはほとんどありません。費用は1本につき27,500円(25,000円+税)です。
ホワイトワイヤー
歯の表面に付けるブラケットを透明なものにするだけでなく、白いワイヤーを用いる方法です。矯正装置が目立ちにくくなります。ワイヤーが白または歯に近い色にコーティングされているため、ギラギラとした金属色の反射を抑えることができることから「できるだけ目立たない方法で...」というご希望に対応するために導入しています。ただし「コーティングされていることから滑りが悪くなり、治療効率が若干下がる」「連続使用すると部分的にコーティングがはげ、目立ってしまうケースもある」といったデメリットもあります。
当院では、ご希望に応じて、ホワイトワイヤーを使用したステップ時のみ1本3,300円(3,000円+税)を頂戴します。写真撮影など特別なときにだけ選択される方も、治療期間を通じて選択される方もいらっしゃいます。
マウスピース型矯正装置の使用
マウスピース型カスタムメイド矯正装置を使用して治療が可能な場合があります。移動量がそれほど大きくない場合は、当院院内技工士作製のマウスピースや、上下一体型のトゥースポジショナー/ダイナミックポジショナーを使用します。移動量が多い場合は、アメリカ・アラインテクノロジー社のインビザライン Invisalign®を用いております。 インビザライン Invisalign®は、CAD/CAMの技術で「アライナー」という透明のマウスピースを一度に多数制作し、それを順を追って交換しながら歯を移動する方法です。当院では、iTero element 5Dという光学スキャナーを導入しておりますので、シリコン印象材による型取りの苦労をしないで済みます。アライナーは1日20時間以上の装着が必要で、1~2週間ごとに新しいアライナーに交換しながら歯を徐々に移動させていきます。
※注意※ インビザライン Invisalign®は、国外のアライン社工場で製造されたマウスピースを輸入する形式となるため、国内では医薬品医療機器等法(薬機法)の未承認器材となります。(国内に薬機法の承認を受けているマウスピース型矯正装置も存在しておりますが、当院では使用しておりません。)このため、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。ただし、安全性については、米国FDA(食品医薬品局)にて1998年に認証を受けており、すでに日本を含む多数の国で矯正治療に用いられております。当院では、症例を選んで選択させていただいておりますので、インビザライン使用のご希望に添えない場合もございます。
ほかの矯正法とは違って装置が取り外し式ですし、ブラケットやワイヤーも装着しないので目立ちにくい方法でもあります。しかし歯の移動方向や移動の仕方によってマウスピース型装置が向いていないことがあり、ワイヤーを使った矯正との併用になる場合、マウスピース型装置では治療ができない場合もあります。
舌側(裏側)矯正
舌側矯正(裏側矯正/リンガルブラケット)は、ワイヤーやブラケットなどの矯正装置を歯の裏側に付けるので、表側からは矯正をしていることがほとんどわからなくなる方法です。最も目立たない方法ですが「舌の違和感が強い」「治療期間が長くなる傾向がある」「歯を並べることが難しくなる」「治療費が割高になる」といったデメリットもあります。当院では、患者さんの治療の難易度に応じて、舌側矯正が可能かどうか判断させていただいております。
※2021年8月より当面の間、土曜日および平日17:00以降の繁忙時間帯における舌側矯正治療の新規治療受付を中止させていただきます。平日早めの通院が可能な患者さんに限りお引き受けいたします。
部分矯正
部分矯正とは、部分的に移動させたい歯だけを狙い、目的に応じて歯並びの不具合を改善する治療方法です。全体的な矯正が行えない、必要のない場合にのみ行うことができる治療です。
かかりつけ医の先生のご指示に基づき、一般歯科治療を行うことを前提として矯正治療を行います。「倒れた歯を起こしてブリッジ(固定式入れ歯)を作ることができるようにする」「前歯のクラウン(差し歯)をする前に隙間を少し減らしておく」などの治療を想定しています。
※「前に出ているのはこの一本だけなので、部分矯正でひっこめたい」というようなご要望をいただくことがありますが、全体のずれの結果一本だけが飛び出している場合が多々あります。この場合、部分矯正では治療が困難ですので、あらかじめご了承ください。
歯の移動の促進
動きにくい歯の移動を助けるために、外科的処置を加える方法があります。矯正治療を行う際に、歯の周囲にある骨改造速度の遅い骨(皮質骨)を一部外科的に除去し、同時に残っている骨(海綿骨)に刺激を与えることで、骨改造速度を上げ、短期間に歯を動かすことを試みます。